考えるデザインは、経営者の大義(強みや価値観)を見つけることによって、コミュニケーションの歯車が動き出し、従来の見えるデザインを有効に活用できるようになります。その考えるデザインと見えるデザインのインターフェースになるのがテイストです。
この場合のテイストは、感情を基にした思考パターンや、そこから生み出される行動パターン、人生の考え方などを分類するものです。
感情に基づいた思考・行動パターン分類は、本質的に自社(組織)や個人(被験者)の根底を理解するためのものです。
感情に基づく世界の“知覚レンズ”
人間の視覚は目から脳に伝達される際に写真のRAWデータのような圧縮された状態で保存されます。そのRAWデータを、感情がフィルターとして実態を増幅し認識します。よって人それぞれの感情で世の中を見ているわけです。一人ひとりの見えてる世界が違って見えても不思議はありません。
「目は、心が理解する準備ができているものしか見ることができない。」 – アンリ・ベルクソン(フランスの哲学者)
つまり、人間の基本的な性質である生理的要素(生存本能、社会性、好奇心、パターン認識能力)と後天的要素(学習による体験の蓄積・文化的影響・社会的役割)、そして現在の環境(状況)ステージの違いが感情を左右し大きな影響を持って現在のテイストをつくるのではないか?そう仮定することから始まっているのがthinking Designのテイストという概念です。
テイストは「感情による世界の再構築」である
例えば、癌の宣告を受けたとき、死が目の前に近づくと突然世界が灰色に見えたという体験があります。
目では色を捉えているはずなのに、心が“世界を変えて見せていた。これは感情が単なる反応ではなく、「世界そのものの知覚を構成する機能」を持っていることを示しています。
つまりテイストとは、単なる好みではなく、感情から構築される人生の知覚スタイル=存在のトーンです。
テイストの利点
従来のデザイン分析が「どのように見えるか」に焦点を当てるのに対し、このシステムは「なぜそのように感じるのか」という根源的な部分に迫ります。「どのように見えるか」はAIを使った定量調査などによって今ではわかるようになってきました。「なぜそのように感じるのか」は、感情を起点として思考・行動パターンを分析することで、表層的なデザイン要素の背後にある本質的な価値観や志向性を明らかにします。
デザイン(広告)の開発もそのプロセスの殆どはコンピュータによるシミュレーションで行われます。当然、シミュレーションですから『良いデザイン』はデータ化されていますので、どんな環境でも同じ条件を再現できる反面、各メーカーが目指す「成果」も似通ってきます。なので自ずと「メーカーの個性が薄い」デザイン(広告)が多くなってきます。
このような状況において、自分や他者の“感情的リアリティ”を可視化し、共有可能にするthinking DESIGNのテイストは、個人・組織・ブランドが本質的に「らしさ」を取り戻すための、新しい概念と考えています。